2019.10.30
肩の痛み 前腕の痛み 腕神経叢引き抜き損傷
<症例>
栃木県足利市 30歳代 女性
CC(自覚症状):右肩~右前腕の痛み
PI(原因):介護のお仕事中に
所見:Eaton(+) 頸部 屈曲・左側屈(+)伸展・右側屈・左回旋(-) 握力 右:22kg 左:31kg 右肩を押されているような違和感 右手を力入れるとpain(+)・力が入りづらい
評価:腕神経叢引き抜き症候群
治療法:電気・ハイボルマウス
腕神経叢とは?
腕神経叢は第5頚神経~第1胸神経(C5~T1)の前枝によって形成しており、C5・C6の前枝は合流して上神経幹、C7の前枝は中神経幹、C8・T1の前枝は下神経幹を形成しています。
各神経幹は前斜角筋・中斜角筋の間(斜角筋隙)より出て、それぞれ浅層と深層に分かれており、上神経幹・中神経幹の浅層は合して外側神経束を、下神経幹の浅層は内側神経束を形成していて、深層は3本が合して後神経束を形成しています。
損傷高位により節前損傷(根引き抜き損傷)と節後損傷に大別され、また、麻痺型により上位型・下位型・全型に分類され、特に一般には全型が多く、下位型は少なく、全型では節前損傷を占める割合が多く、上位型では節後損傷が多いです。
この患者さんは、介護のお仕事をしており、利用者さんを車椅子から降ろしたり、乗せたりする動作が多く、利用者さんを移動させる時力を入れた際に右肩~右前腕に痛みを感じてしまいました。右手に関しては、左と比べると握力が9kgも下がってしまっていて力が入りにくい状態でした。当院では、神経症状に効果的なハイボルテージ(電気)があるので、腕神経叢の通り道になっている局所に電気を当てました。治療後は、握力があ上がり力がはいる状態まで回復しました。
現在では、力も入るようになってきており、右肩~右前腕の痛みも落ちついてきています。今は、痺れはでていなく患部に痛みがまだ残っていることがあるので、ハイボルテージ治療をしながら、神経の興奮を抑え、右手の握力を上げていけるように施術を継続していき、経過観察を続けて、改善していけるように頑張って行きたいと思います。