2025.10.31
変形性膝関節症(グレード3)
 今日は、『変形性膝関節症(グレード3)』の
患者さまの紹介です!
はじめに、『変形性膝関節症』とは
関節軟骨の変性を基盤とした、炎症性の疾患です。
・変形性膝関節症になりやすい人の特徴
☑中高年以降の女性(閉経後)
☑肥満
☑O脚やX脚などの変形
☑過去のケガ
☑筋力の低下
☑ランニングやジャンプの多いスポーツ
☑重たいものを持つ職業の方
あてはまるものがあれば要注意です🚨
・変形性膝関節症の過程
 初期症状は、動き始めに膝のこわばりや
重さから始まり、鈍い痛みを感じ始めます。
しかし、時間と共に治まるため、この段階で受診をすることをお勧めします。
進行すると腫れと熱を持ち、水が溜まり痛みが強くなり、日常生活に支障をきたす事もあります。
・保存療法と手術療法の適応について

| グレード | エコー、レントゲンの画像所見 | 
| 0(正常) | 正常 | 
| 1(疑い) | ごく小さな骨棘の可能性 | 
| 2(初期) | 明らかな骨棘、隙間が少し狭い | 
| 3(中期) | 隙間が明らかに狭い、骨の変形 | 
| 4(末期) | 隙間がほぼ消失、骨同士が接触 | 
グレード0、1の場合、
大腿四頭筋に重きを置いた
運動療法で症状が改善する事が多く、
グレード2、3、4の場合、
運動療法と体重管理、生活指導により保存療法の適応と言われています。
しかし、保存療法で改善が得られず関節の破壊が
進行した場合、手術療法を考慮します。
また、手術になっても運動療法と体重の減少は
手術後の効果を上げるために有効とされています。
 骨棘とは字の通り、
骨の一部が棘のように尖ってしまうこと。
膝に限らず、踵や脊椎に現れることもあります。
※グレード2以上を明確な変形性膝関節症と定義する。※標準整形外科学第14版より
当院の症例報告
【患者】
70代女性
【初診日】
令和7年 9月26日
【主訴】
テニスの練習後、
正座から立ち上がる際の左膝内側の痛み
【来院歴、既往歴】
令和4年11月:右膝変形性関節症
令和5年11月:右大腿四頭筋インピンジメント
令和7年4月:右大腿骨内側顆骨棘によるインピンジメント
【現病歴】
 初診日1~2週間前テニスの練習から帰宅、
自宅にて正座から立ち上がろうとした際に、
左膝に痛みが発生し来院。
現在は、平日にテニスと卓球をそれぞれ週2回、
来年1月から週末は、登山へ行く予定。
 右膝関節に既往歴もあることから、
令和4年11月に来院の際に、以前に処方した、
左右兼用膝関節サポーターを左膝関節に着用し、
普段はテニスの練習を行っていた。
しかし、受傷時は、
サポーターを忘れてしまい着用していなかった。
【診察所見】
 圧痛(+)、屈曲痛(+)、伸展痛(+)、
関節水腫(+)、伏在神経痛(+)
関節水腫とは、関節軟骨が摩耗する過程で、関節を包む滑膜が刺激を受ける。
この際に、滑膜が関節液を放出し水が溜まるという状態になる。
この症例における伏在神経痛とは、
大腿神経から分岐した伏在神経が筋の緊張と、
関節水腫により圧迫を受け、
痛みが出たものと考える。
  
  
    
患者の年代、圧痛箇所、関節水腫、
動作開始時痛から、変形性膝関節症。
エコー画像によりグレード3と推測する。
【施術計画】
 再診~1週目:今週に控えるテニスの大会に向けてハイボルテージでの疼痛とメディセルによる関節水腫の緩和。
1週目~2週目:ショックウェーブを開始。2週間の運動禁止。
※疼痛と炎症の軽減。2週間の運動禁止の目的は、修復期である患部の安静を保つため。
2週目~3週目:ショックウェーブとメディセルの継続、運動療法を開始
3週目〜4週目:ショックウェーブと運動療法の継続、 メディセルを使った筋緊張緩和
※メディセルとは皮膚を介して筋膜を吸引し、
体内循環を正常化し筋緊張緩和、関節可動域向上、
腫れやむくみの改善を目的とした機器である。
俗に筋膜リリースと呼ばれる。
【施術/経過】
・再診~1週目
 10月3日にテニスの大会を控え、患者主体の意見と意向から大会が終わり次第2週間運動を休む予定。
LIPUS、大腿部手技療法、鎮痛と筋緊張緩和目的の電気療法(ハイボルテージ)
大腿四頭筋の機能改善、大腿筋膜張筋の筋緊張緩和、関節水腫緩和目的の筋膜リリース(メディセル)
関節水腫が落ち着き次第、ショックウェーブ実施予定。
・1週目~2週目
 運動を休む予定であったが10月8~10日に
急遽テニスの予定が入る。
10月7日、患者がショックウェーブを希望によりエコー画像確認後、
関節水腫(↓)の為、骨棘、PRT、MCL滑液包炎、
鵞足炎に対し膝関節可動域改善と骨及び軟部組織の
再生を促す目的で週1回のショックウェーブを開始。
しかし、10月12日に、お風呂掃除中に
立ち上がった際に、腰を痛める
[所見]
体幹伸展時、左右側屈時痛(+)、
右L4/5椎間関節圧痛(+)、左右Kemp Test(+)
右L4/5椎間関節捻挫(滑膜性)の疑い
[施術]
左膝関節にLIPUS、手技療法、
腰部にハイボルテージ、左膝関節にショックウェーブ
・2週目~3週目
 10月22日、腰を痛めたこともあり患者自身の判断で、10日ぶりにテニスの練習をした。
体幹伸展痛(+)、日常生活動作上の痛み(ー)
自宅の和式トイレから立ち上がった際に、左膝の痛みが強くなった。
関節裂隙に圧痛(+)、熱感(+)
LIPUS、手技療法、ショックウェーブ、
熱感緩和目的の超音波(冷却ジェル)
・3週目〜4週目
 体幹伸展痛(+)、左膝関節圧痛(-)、歩行痛(-)、熱感(-)
来週から運動療法開始予定
LIPUS、手技療法、ショックウェーブ、メディセル
・現在(令和7年10月30日)の状態
 10月22日からテニスを継続しつつ、再診以降卓球を行なった。
圧痛(−)屈曲痛(↓)、伸展痛(↓)、熱感(−)、関節水腫(−)、伏在神経痛(−)
11月5日、14日にはテニスの大会が予定されており、両日とも出場予定。
【考察】
 本症例に対する施術として、まず始めに、ハイボルテージを用いて初回から疼痛の軽減がみられた。
これは患部に鎮痛モード、大腿四頭筋と大腿筋膜張筋に筋緊張緩和モードでアプローチしたことにより
鎮痛効果と筋の機能改善が認められたものと考える。
 また、初週にメディセルを用いた筋膜リリースを行ったところ、
2週目には運動を継続しながらもショックウェーブによる施術ができるまでに関節水腫の軽減がみられた。
これはメディセルの吸引効果による皮下の循環改善が表れたものと考える。
 さらに、ショックウェーブは、患部の組織のみならず、自由神経終末の破壊から、施術後すぐの除痛効果が高く認められた。
 これらのことから本症例においては、疼痛の軽減・関節水腫の軽減・筋緊張緩和・関節可動域改善・組織の再生を
目的としたアプローチの効果が認められたものと考える。
【総括】
 本症例では、変形性膝関節症に対し物理療法を中心とした保存療法を行い、結果的に休むことなくテニスの継続につながった。
特にメディセルは急性期外傷にも使用できることから、安全性の高さが認められており、
メディセルと他の物理療法や運動療法と組み合わせて、関節可動域の改善やスポーツ前後のケアと継続的に施術を行っていきたい。
 この4週における反省点としては、運動禁止を強く指導する事が出来なかったこと、
1~2週目でショックウェーブを開始したことにより、患者の運動量が増えてしまい、
2~3週目に自宅で左膝の痛みが再発してしまったこと、2~3週目で運動療法が開始できなかったこと、
膝関節に注視するあまり腰部の痛みを引き起こしてしまったことである。
 1~2週目で運動をしていなかったら、左膝関節の痛みの再発と腰部の痛みが起こることは、無かったのではないかと考えると、
運動禁止期間を設けることと、運動禁止を患者に指導することの、重要さと難しさを改めて感じた。
 また、ショックウェーブ施術後は、疼痛の軽減から動けてしまうことがあるため、患者のスポーツや日常生活動作上での注意事項や再発リスクを指導していきたい。
 さらに、左膝関節屈曲時の痛みがあった為に、しゃがむことが出来ず腰部に負担がかかり、膝と関連し腰部の痛みを引き起こしてしまった。
これからは、施術計画を更に院内で共有し、スポーツや日常生活動作上における注意事項を患者に伝え、
違う部位の痛みを起こさないようにするとともに、患者は来月もテニスの大会があるので週2回テニス前後の来院指導とメディセルによる筋膜リリース、運動療法を継続して再発予防に努めていきたい。
 
 みなさんこんにちは!!
柔道整復師のかわぎしです😊

 そろそろ11月に入りますが、みなさんはどんな秋をお過ごしですか?
・食の秋
・読書の秋
・スポーツの秋
と様々な秋がありますが…🤔
私は休日に炭火を使った吊るし焼きチャーシューを
作りました🍖

美味しくてついご飯をいっぱい食べてしまいました😋🍚
 
       
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